脂肪肝

食べ過ぎや運動不足などで肝臓に脂肪が蓄積した状態で、自覚症状が少ないものの放置すると肝硬変や肝がんのリスクを高める病気です。アルコールが原因のアルコール性肝炎と、肥満・糖尿病・脂質異常症などによる非アルコール性肝炎に大別され、生活習慣の改善が重要です。

NAFLD/MASH

過剰飲酒がなく肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などが複数当てはまる場合に非アルコール性脂肪肝(NAFLD)とされます。この脂肪肝に炎症と線維化が加わった進行性の肝臓病をMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎(Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis))といいます。治療に関しては食事や運動によるライフスタイルの改善が早期治療の基本となります。脂肪肝と診断された場合には、病気が進行する前に生活習慣を改善することが大切です。

急性肝炎

ウイルス、アルコール、脂肪肝、薬剤、自己免疫などにより肝臓組織の肝細胞が障害され炎症反応が起こった状態を指します。症状としては、黄疸、食欲不振、嘔気嘔吐、全身倦怠感、発熱などがあります。急性肝炎は一般的には経過が良好な疾患ですが、約1~2%の患者は劇症化し、その場合は高率に死に至る可能性が高くなるため、肝臓移植治療が必要となることがあります。

慢性肝炎

肝臓の炎症が6ヶ月以上続く病態で、B型・C型ウイルス性肝炎が主な原因ですが、アルコール性や脂肪肝(NASH/MASH)、自己免疫性なども原因となり、初期は無症状で、進行すると肝硬変や肝がんにつながるため、早期発見・早期治療が重要です。原因に応じた治療と生活習慣の改善が大切で、自覚症状がなくても定期的な検査が推奨されます。

肝硬変

ウイルス性肝炎、アルコール性肝障害、脂肪肝などが長期化し、肝臓が線維化して硬く小さくなる病気です。肝機能が低下し、黄疸、腹水、食道静脈瘤、肝性脳症などの症状や、肝がんのリスクを高めますが、早期発見と原因への対応で進行を遅らせることが可能です。

肝臓がん

肝臓にできるがんで、初期は自覚症状に乏しいのですが、進行すると右上腹部の痛みやしこり、腹水、黄疸などが出現します。B型・C型肝炎ウイルス感染や肝硬変、過度の飲酒などが危険因子です。治療法は、手術、ラジオ波焼灼療法、塞栓療法、分子標的薬などがあり、肝機能や腫瘍の状態に応じて選択されます。

胆嚢結石

肝臓で作られる消化液である胆汁が、胆嚢(たんのう)という袋の中で固まり、石のような塊になる病気です。多くは無症状ですが、油っこいものを食べた後に右上腹部の激しい痛み、吐き気、背中への放散痛などが起こることがあります。放置すると胆嚢炎のリスクを高め、重症化すると命に関わることもあるため、症状がある場合は手術が必要です。

総胆管結石

肝臓から十二指腸へ胆汁を運ぶ総胆管という細い管に結石ができる病気で、多くは胆嚢結石が移動したものです。細い胆管に結石が詰まると腹痛、黄疸、発熱などを引き起こし、急性胆管炎や急性膵炎などの重篤な合併症を招きます。治療治しては内視鏡治療が第一選択となることが多いです。

胆のうポリープ

胆のうの内側にできる隆起物で、症状はほとんどなく健康診断の腹部超音波検査で偶然発見されることが多く、ほとんどのポリープが良性です。しかし大きさが10mmを超える場合や形に特徴がある場合は、精密検査(超音波内視鏡、CT、MRIなど)が必要です。小さなポリープでも、見つかったら定期的な経過観察が必要です。

急性胆のう炎

胆のうが炎症を起こす病気で、多くの場合、胆石が胆のうの出口を塞ぐことが原因です。主な症状は、右わき腹の痛み、発熱、吐き気などで、重症化すると腹痛が激しくなります。治療は、禁食、点滴、抗菌薬による初期治療の後、根治のために胆のう摘出手術を行うのが基本です。

急性胆管炎

胆管は、肝臓から分泌された胆汁を十二指腸に運ぶ役割をしています。胆管に感染が生じた状態が急性胆管炎であり、発熱や黄疸が出現し、右季肋部痛がおこります。重症になると、意識が混濁したり、生命に関わる可能性があります。初期治療は絶食、抗菌薬投与、これらに加えて胆道ドレナージが推奨されています。胆道ドレナージとは、胆管の中の感染した胆汁を体外に排出させる方法で、内視鏡を用いて行う内視鏡的ドレナージや、体の表面から針を肝臓に刺して行う経皮経肝胆管ドレナージもあります。

胆嚢腺筋症

胆嚢の壁が厚くなる良性の病気で、壁内にRAS(ロキタンスキー・アショフ洞)という袋状のくぼみが増えるのが特徴です。通常は自覚症状もなく、検診の腹部エコーで偶然見つかることが多いです。無症状なら治療不要で定期的な経過観察が基本ですが、胆石合併や炎症、がんとの区別が難しい場合は手術が検討されます。

胆嚢がん

胆のうあるいは胆のう管にできた悪性腫瘍を胆のうがんと呼びます。胆のうがんの初期では無症状であることが多く、検診の腹部超音波(エコー)検査で、偶然発見されることもあります。胆のうがんは、早期発見できれば手術で治る可能性があります。症状がなくても検診の超音波検査で胆のうの異常を指摘された場合は、精密検査を受けることが大切です。

急性膵炎

膵臓で作られる消化酵素が膵臓内で活性化し、膵臓自身や周囲の臓器を溶かしてしまう病気です。アルコール摂取や胆石が原因となることが多く、症状は上腹部の激しい痛み、吐き気、嘔吐が特徴です。診断は血液検査と画像診断で行われ、治療は絶食・大量の点滴が基本ですが、重症化すると集中治療室での治療や外科的処置が必要になることもあり、早期の受診と適切な治療が重要です。

慢性膵炎

膵臓に長期間炎症が続き、細胞が破壊されて機能が低下する病気です。腹痛が主な症状ですが、進行すると消化不良や糖尿病を合併します。主な原因は飲酒や喫煙で、治療は禁酒・禁煙と食事療法が基本、痛みに対しては薬物療法や内視鏡治療などが行われます。一度進行すると治りにくいため、早期発見と生活習慣の改善が重要です。

膵嚢胞性疾患

膵臓にできる水が溜まった袋状の病変の総称で、画像検査の普及により健診などで偶然見つかるケースが増えています。炎症による良性なものから、がん化リスクのある腫瘍性嚢胞(まで様々で、適切な診断と経過観察(定期検査)が重要で、悪性化リスクがあれば手術が検討されます。

膵がん

膵臓(すいぞう)にできる悪性腫瘍で、早期発見が困難で、初期症状が出にくく進行が速く治療が難しい難治がんとして知られています。進行すると腹痛、黄疸(おうだん)、体重減少、食欲不振などが現れます。急な糖尿病の発症・悪化が膵臓がん発見のもきっかけになります。近年患者数・死亡数ともに増加傾向にあり、治療法としては手術や抗がん剤治療があります。